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MIKEにより19年、 3ヶ月前に更新されました。
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2004年12月15日 3:33 AM #10903
剣
キーマスターミスターKさん。
お呼びですか?そうです。学問しましょう。
それからMIKEさん、ご心配なく。法律の問題を論ずる場合、「安易に答えを求める」ということはなかなか出来ないのが現状です。たとえ僕がここにある程度の「解法の道筋」を示したとしてもそれを読んだ方がさらに考えていかなくては理解には及ばないものですから。
それでは始めますか。
今回のテーマは条文2つに関する問題ですが、実はこうしたものは突き詰めていくと卒論のテーマにも成り得ます。扱う内容を考えるとテーマとしてはかなり大きなものですから。
ここでも民法の問題解決のための2つの思考手順、「責任を取るべき人は誰か?」そして「保護されるべき人は誰か?」を常に忘れないようにしてください。
それでは条文を一つづつ検討していく方法でいきたいと思います(今日は478条を取上げます)。なお使われる用語でよく勘違いする人がいるので最初に注意しておきますが、ここで使われる「準占有」を民法205条のものと混同しないでください。205条のそれは「自分に利益を帰属させる意思をもって財産権を行使すること」ですが、「債権の準占有者」というのは一般の取引通念上において真実の債権者であるかのような外観を有する者を意味します。
478条は上記「債権の準占有者」に対し善意(つまり真実の債権者でないことを“知らない”こと)で弁済した債務者を「保護」する規定です(こうした問題は「表見法理」、「外観法理」あるいは学者によっては「権利外観理論」と呼ばれるものでしたね・・忘れてしまった人は「民法総則」の意思表示等に戻ってください)。478条は「債権の準占有者」を問題としているのではなく、善意の弁済を「保護」することを目的としています。この考え方はフランス民法に倣ったものです。
それでは実際に「債権の準占有者」とはいかなるものか、ということも考察しておかなければなりませんが、実はここで学説の争いがあって1.205条と478条の準占有者は同一であり478条において準占有の範囲を拡大するもの、とする説。2.205条と478条のそれは別物とした上で「表見法理」によりその範囲を決しよう、とする説(すなわち誰を保護すべきか)。3.準占有者の範囲を限定すべき、とする説。があって、現在の多数説は1.2.の立場にあります(なぜか・・?それは、「債権の準占有者」に対する弁済はあくまでも“有効”であり、法律によって保護されるべき債権という“権利”の消滅と弁済者の“免責”を意味しますので、その弁済者が免責、つまり「保護」される要件を厳格化しようとする方向で一致するわけです。
次いで弁済の有効要件を見ていきますが、ここで善意の他に無過失も要求されるか否かが問われるわけです。条文上、弁済者が善意であることは当然ですが、通説はここに善意であることのみでなく「積極的に債権の準占有者が真の債権者であることを信じることを要する」としています。判例上も古いものにあっては条文に従い無過失を要しないとしていましたが、その後無過失を要すると変更されました(ミスターKさんご指摘の最判昭41.10.4、そして最判昭42.12.21によってそれは確定されたといわれています)。それではなぜ無過失を必要とするようになったのか・・?それは、上述のように保護要件の厳格化、そして480条と対比した場合、バランスを失するのではないか、という考えから成り立っています(480条は条文上で無過失を要求しています)。
最後に重要な点を一つ。それは「債権の準占有者」を生じた理由です。事例のように盗まれたものの場合どうなるか?これは当然ながら誰もが疑問に思うところですが、実はその理由は問われないというのが現実です。なぜか・・?それはここでも「保護」しなくてはならないものがあるからです。それは「取引の安全」です。
※480条に関しては後日送ります。2004年12月15日 9:50 AM #10904MIKE
キーマスターミスターKさん
書き方は理解しにくいことはありません。ただ、ミスターKさんの質問に直接答えられる知識はないので、私自身が問題を理解するするために思いつくままに書います。>先日、民法478条(債権の準占有者に対する弁済)の解釈が覆る判決
法を学ぶ者として現実の裁判所の判断は重要な要素です。できる限り原典にあたりたいので裁判所と判決日がわかれば教えて下さい。最判昭41.10.4はチラッとしか見なかったのですが、剣さんの書き込みによれば現在の判例は既に「無過失を要する」という態度なんですね。
その判例に従って従来金融機関勝訴と言うことは「過失がない」との事実認定に基づく判決と言うことになりますか?。 そして「先日の…判決」の内容がわからないのですが、「過失有り」という「事実認定」に基づいて金融機関敗訴と言うことでしょうか?もしそうであれば、解釈の変更ではなく判断の元になる事実が違っただけのように思いますが、判例をもうちょっとよく見てみます。
>この民法478条の司法上の判断が変化した結果、金融機関が想像以上>の多大な負担をすることになります。
新聞報道程度の表面的な情報だけからだと、通帳を不法に奪われた被害者のさらなる被害を保護するためには金融機関はもうちょっと注意を払えよという司法判断のように思えますが、480条に言う「受取証書」だけを持っている人より、478条の「債権の準占有者」の方が「より、正規の権利者らしい」という差があるから、後者の場合は支払う側に善意だけを要求し、前者には無過失も要求されると言うことでしょうね。 「債権の準占有者」たる基準はわかりませんが、従来通帳と印鑑を持っていればこれに該当するという判断がされていたことになります。 しかし昨今は通帳・印鑑を盗む奴も多い、印鑑は印影から簡単に偽造できるなどの事情から金融機関でも対策を取りつつあり、一方司法の場においても「通帳と印鑑だけじゃ準占有者とは認めない」という判断によって480条を適用、無過失も要求する・・・と言う理論は可能でしょうか? それが
>本来の債権法の考え方では、民法480条をもう少し使ってもよいと私>は考えていますが、現在民法480条はあまり使われていません。
の意味でしょうか?>それは、民法478条がフランス民法からから日本国民法に移入され、>また民法480条はドイツ民法から移入された経緯と立法趣旨と関係が
へぇー 法制史も知らないとついて行けないんですね。いずれ勉強を…2007年1月1日 12:00 AM #10737<削除>
キーマスター<削除>
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