#24271
ミスターK
キーマスター

**ニフ慶ドラマ**・・・「熱海の空から」

第6話 「解決」
 私と典子は、静かに食事をしながら南を待っていた。
典子と南は、面識はない。  掻い摘んで、南と私の関係など話した。  典子は、余りにも簡単に引き受けた南が不思議な人間に見えたらしい。
 前の通りに、キャデラックが止まった。 南が来た。 車を止めるスペースは無い。 車は走り去った。
身長180センチでかっぷくのいい男だ・・・・妙に紺のダブルの背広が似合っている。
レストランに入ってきた。 「久しぶり。義男、元気だったか?」 「横浜に来る時は連絡よこせ!!!」
笑いながら、本題に入った。 典子は、緊張して顔が少し引きつった。
改めて、南を典子に紹介し、経緯を典子から南に話させた。 南が言った。 「住所判りますか?」
典子がコースターに住所を書いた。 南はそのコースターを持ってロビーに向かった。
その間しばし、沈黙が続いた。
直ぐに、表に載ってきたキャデラックが止まり、二人の紳士が降りていた。 その二人はホテルのロビーに入って来て、南と話をしていたかと思うと、先ほどの住所を書いたコースターを持ってまた車に乗って何処かに行ってしまった。
南が戻ってきた。 「話はしたから 2・3日で解決だ。」・・・・・・不動産屋から連絡がいくよ。 南が微笑んだ。   典子の顔は、ハトが鉄砲をくらった顔だった。 思わず「はぁー」といった。
典子は、軽く会釈をした。 そして、南は私に向かって、50万だぞ!と言って、笑った。
そして、何もなかったかのように昔話に花が咲いた。 若い頃の話だ。 ドブ板あたりの・・・・・
そこで、南に聞いてみた。 「今、何をやっている。 お前は・・・??」
本人曰く、「家の仕事さ・・・・」    私が、「港関係だろ。お前の家は・・・・」
「それも、やっているが・・・・」   「昔からの継りで、この辺(横浜)の便利屋だよ! 爺さんの家業だよ!」     私も典子も 何となく、納得した。  薄々は知っていたが・・・・突っ込んで聞いてみると、ほとんどが不動産や商取引のトラブルの解決らしい。  表で出来る仕事はお抱え弁護士や市会・県会の議員で解決させ、裏は南の爺さんの関係する仕事だそうだ。
用益物権・地下・空中の地上権、法定地上権、仮登記担保などのトラブルはもちろんのこと、商売上の契約の履行や要物契約、流質契約、抵当証券のトラブル、また金融機関に財団抵当でお金を借りたいお客さんやを紹介するなど、港横浜はネタは尽きないらしい。
「用途物権、地下・空中の地上権、法定地上権、仮登記担保」
「要物契約、流質契約、抵当証券」「財団抵当」
そんな話をしていたら、時計は10時をまわっていた。
皆、今日はここで別れることになった。 南に対しての報酬は一時私が支払い、後日典子からと言うことになった。 典子は、少し後ろ髪が引かれる様子だったが、タクシーに乗って帰っていった。 南はこれから仕事との事。駅まで送ると言われたが、キャデラックにはあまり載りたくなかった。
南は、載ってきたキャデラックでどこかに急ぎ走り去った。
私はロビーのソファーに腰掛け、煙草に火をつけようと、コートのポケットに手を入れると・・・
みなとみらい駅で拾った定期券が手に当たった。
「シマッタ」 駅員に渡すのを忘れたな。 ・・・その定期入れを見て見ると、名前と連絡先があった。  名前は、佐藤貴子 21歳 横浜のお嬢さん学校の学生さんのようでだ・・・・
ひょっとして、困っているかも・・・携帯で電話してみた。 すぐに出た・・・・・。
「あのー」  「どなた・・・」  私は、なんて言ったらよいか言葉に詰まった。 「定期の・・・」
「もしかして、拾って下さった方ですか。 失礼しました。」  会話になった。
結局、明日も横浜に来ることになってしまった。

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